~エネルギー~

 

ここで取り上げるエネルギーとは、運動エネルギーや熱エネルギーといった物理的なものではなく、魔法や生命を生み出す神秘的な力である。

 

〝正の活力(ポジティブエナジー)〟

『正の活力/ポジティブエナジー』とは、即ち生命力のことであり、バイタリティ、ポジティブバイタリティ、ライトエレメントと呼ばれることもある。《正の活力界》はポジティブエナジーに満ちたプレーンである。

 生命力は生命体の活動の源であるが、器(肉体)に合わせた許容量が決まっている。これは許容できる絶対量もそうだが、短時間で流れ込む相対的な許容量も含む。器の許容量を超えたポジティブエナジーが流れ込むと、変調を来たしダメージを受ける。重要な器官を損傷したり、最悪死に至る場合もある。逆に適度な速度で流れ込ませれば活力を与え治癒能力を高めたり、肉体的な能力を一時的にコントロールすることも可能である。太陽光線はポジティブエナジーの塊であり、一部の地底生物やアンデッドに致命的な作用をもたらす。訓練や鍛錬により器の許容量を大きくすることは可能である。

 ポジティブエナジーが循環しない肉は只の肉塊であり、生命体とただのタンパク質の違いはここにある。つまり、人型の肉塊を創ったところでポジティブエナジーを循環させる術を持たない者はその肉塊を生命体と成すことはできない。

 

〝負の活力(ネガティブエナジー)〟

ネガティブバイタリティ(負の生命力)とも呼ばれる、エネルギーの一形態で、ポジティブエナジーと全く対照的な存在である。ダークエレメントとも呼ばれる。《負の活力界》はネガティブエナジーに満ちたプレーンである。

 ポジティブエナジーとネガティブエナジーは相克する性質を持っており、ポジティブエナジーを動力とする生命体にとってネガティブエナジーは毒に等しい。ネガティブエナジーを注入された生命体は肉体に様々な変調をきたし、もしネガティブエナジーの支配下におかれればアンデッドとして彷徨うことになる。

 

【エネルギーの作用について】

ポジティブエナジーとネガティブエナジーは、非常に似通った作用を持っている。

 

 春の太陽が柔らかな日差しを、夏の太陽が厳しい暑さをもたらすように、周囲に拡散して放射するポジティブエナジーは急激な変化をもたらさない。一般にこれは生命体からは《オーラ》として常に放出されており、これが《生命感知》に反応するのである。強い生命力を持つ生命体は通常強力な《拡散放射》を行っており、強い《オーラ》をその身に纏っている。病気の時の《オーラ》は非常に弱弱しく、輝きさえ薄くなる。

 《拡散放射》される《オーラ》は、通常ほとんど攻撃力や回復力として作用することはない(例外はありうる)。気功法は、こういった拡散放射されているポジティブエナジーの流れを律し、攻撃力や回復力と転じる呼吸法である。

 これはネガティブエナジーでも同様である。ネガティブエナジーは特に常に増大する性質を強く持っているため、ポジティブエナジーよりも大きくはっきりとしたオーラになることが多い。

 

 ポジティブエナジーは、生命体の体内で、通常は《循環》している。これは、体の隅々にまで循環しており、これによって肉体自身の健康を守り、同時に精神へのエネルギー供給の安定を図っている(精神が身体の隅々にあるわけでなく、ポジティブエナジーが、精神と肉体の両方に活力を与えているということ)。

 “気功法”では、この《循環》を正常にしたり、体内の悪い部分に《集中》させることによって、肉体を癒す。逆に《集束放射》することによって、生命体に打撃を与えることもできる。

 ネガティブエナジーでも同様のことが言える。ただし、アンデッドの中にはゴーストのように実体を持たないものも存在する。彼らは、ネガティブエナジーを循環させる必要は無く(また循環させる手段も持ち合わせていない)、魂の周囲に《停滞》させている。《停滞》したネガティブエナジーは《対消滅》の影響を受けやすく、結果としてターンアンデッド(これは、ポジティブエナジーとネガティブエナジーを対消滅させる魔法である)の影響を受けやすくなる(循環している=動きのあるネガティブエナジーは切れ目を持っているため、対消滅の連鎖がそこで途切れやすい)。

 

 太陽光線を虫眼鏡で集中させることによって紙が燃えるように、ピンヒールで踏まれると死ぬほど痛いように、ポジティブエナジーを一点に集束して一気に流し込むことによって、対象にダメージを与えることができる。

 これは、ネガティブエナジーでも同じことが言える。集束放射されたネガティブエナジーは生命体を傷付けるし、場合によってはアンデッドにも害を及ぼす。ネガティブエナジーのスペシャリストであるネクロマンサーの強さは、その力を対アンデッドの切り札としても使用できるということである。

 

 ネガティブエナジーとポジティブエナジーは、常態ではお互いに反発しあう。要するに、一箇所にネガティブエナジーとポジティブエナジーが存在した場合、お互いがお互いを排斥し、反発しあうということである。これは、磁石のS極とN極の間に発生する斥力に似た性質である。常態のネガティブエナジーとポジティブエナジーが混在することは無い。

 

 ネガティブエナジーもポジティブエナジーも、同種のエナジーと引き合う性質がある。

 

 特定の条件が揃うと、ネガティブエナジーとポジティブエナジーはお互いを消滅しあう。この際大きなピュアエネルギーを生じるこの現象を、一般に《中和》あるいは《対消滅》と呼ぶ。

 この現象が起きる条件はひとつ、ネガティブエナジーとポジティブエナジーが、同一空間に存在すること、である。1箇所でもこの状態が生じると、対消滅は周囲に連鎖するため、膨大なピュアエネルギーを発生させながら、周囲のネガティブエナジーとポジティブエナジーは一時的に消滅する。この現象が自然に発生することはまずありえないことで、通常はなんらかの人為的手段(通常は魔法)によって発生させられる。なぜなら、両者の間には強い斥力が働いているため、同一空間を占有するということは自然現象としてありえないためである。

 

〝フリクションエナジー〟

 『プレーン』同士のつながりというのは実に様々な形態が存在するのだが、その多くは単純なものではない。非常に複雑で、行き来の難しいものなのである。その、『プレーン間の移動を妨げる力』と『プレーン間の移動を促進する力』が擦れ合うことによって、《摩擦》と呼ばれる現象が生じるのである。物質界で発生する摩擦熱と、ニュアンス的には非常に近しいものがあるといえる。

 《摩擦》によって生じるエネルギーは、偏向性を持たない純粋なエネルギーである。これに偏向性を帯びさせて魔法を編む。

 

〝位相差エネルギー〟

 水が高いところから低いところに流れるように、状態の違いから生み出されるエネルギー。(半)フェイ化した元素霊は自分と近しい物質(たとえば、火のエレメントならば炎、水のエレメントなら水)を吸収することで、物質と霊体の位相差(電気のプラスとマイナスのようなもの)のエネルギーを蓄えることができる。

 ただし、彼らはこのエネルギーをそのまま利用することはできない。それを使って『物質界』と『精霊界』の『皮膜』に『坑』を穿ち、精霊界の力を自身に取り込むのである『坑』を穿つ規模は精霊の能力に依存しており、下級精霊の場合はかえって力を消耗してしまう可能性が高い。

 《位相差》によって生じるエネルギーは、基本的に偏向性を持っている。たとえば、火の元素霊が炎を取り込んで生み出すエネルギーは常に火の偏向性を持っている。よって、火の力を取り込んで、水の元素界に『坑』を穿つことは不可能である。

 

〝魔法活動力(ブラッド・オブ・コンストラクト)〟

 魔法生物の動力としての偏向性を帯びたエネルギー。基本的にはフリクションエナジーそのものであるが、純粋な生命力であるポジティブエナジーの影響を若干受けやすい。『被造物の血液』と呼ばれるように、このエネルギーはコンストラクトの心臓部(コア)から体内を廻りつづけている。

 そのため、これらの『血流』を阻害することによって魔法生物に干渉することも可能である。気功法の達人は、魔法生物にとって効果の高い偏向性を“気”に与えることができる。これは魔法活動力が、非常にポジティブエナジーに似た偏向性を持っているからだといわれる。

 

〝アストラルフォース〟

 アストラルプレーン由来のエネルギーであり、フリクションエナジーと同じように、他の属性を帯びさせやすい純粋なエネルギーである。何となく聖属性をイメージさせる名称であるが、実際にはそういった属性はない。聖職者の祈りがアストラルプレーンの『主』に届いた際に、『主』によってこれらの力が変換されるのである。例えば聖北教会の崇める『主』は、基本的にポジティブエナジーの化身であるため、信者へはポジティブエナジーを届ける。

 今は歴史からも消えたティアマットやバハムートは、このアストラルフォースを魔法触媒として無尽蔵に使用したという。つまり、フリクションエナジーというのは、アストラルフォースを直接扱うことの出来ない地上の魔法使いの代替手段なのである。

 

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