~魂と心と器について~

 

 広く一般の生命体は、《精神》こそが本質である。肉体は、ポジティブエナジーの供給源としての役割を担い、精神はその活動力として肉体からポジティブエナジーを受け取る。そのため肉体に変調をきたせば、ほとんどの生命体は精神ごと弱る。通常、肉体を失った精神はそのエネルギー源を失うため存続の危機となる。そして、この精神こそが《魂》と呼ばれる存在である。魂と精神は、ほぼ同一の存在であり、一般に肉体を失った精神(あるいは肉体と切り離して言及する場合の精神)を《魂》と呼ぶ。

 肉体を失った精神は《魂》として暫く周囲を彷徨い、エネルギーを失う前に《天国》や《地獄》に移動する(注:ここは隊長の天国・地獄観によって修正が必要かも)。

 然るべき場所に移動する前にエネルギーを失った場合、その魂は完全に消滅する。そうならずに新たなエネルギー源を得る場合もある。負の感情はネガティブエナジーと感応しやすいため、死者の魂が周囲のネガティブエナジーを取り込み、アンデッド化する場合がある。これがゴーストである。

 ゴーストは何らかの強大な感情を残し天に帰らなかった《魂》が、ネガティブエナジーというエネルギー源を得て活動するアンホーリーである。ネガティブエナジーが《魂》に取り込まれる原因は様々である。ネガティブエナジーが比較的存在しやすい墓地や戦場近くで死んだ者はアンデッド化しやすいし、強い負の感情を持ったまま死んだものは、ネガティブエナジーを引き寄せやすい。これらの複合的な要因が重なってアンデッド化が成される。

 因みに魔法生物が通常の生命体と大きく違うのは、この《魂》が普通の生命体の精神ではない点と、器自体の制御のために《魂》が存在している点である。魔法生命体は、器(肉体)をコントロールする《核》とするために、器に自我(つまり精神)を持たない《魂》を封じ込める。これはゴーレムもドールも同じである。《核》は、その中に《魂》を封じ込める一方で、魔法生命体の中を循環するポジティブエナジーを制御する役割も担う。《核》に変調を来たした魔法生物は、一時的に動きを止めたり、或いは完全に機能停止したりする。《核》は、微弱な電気を帯びているため、電気エネルギーによって、その統制を失い易い。魔法生物に電気が効果的なのは、マシンが電気に弱い、ということだけではなく、《核》が破壊されることがあるからである。

 気功法には、独特の呼吸法により体内の微弱な電流を増幅してポジティブエナジーと一緒に叩き込む技も存在し、そのため、魔法生物に効果的な攻撃も存在する。

 

〝魂〟

 魂とは、精神(心)の直接の憑代(よりしろ)である。《心》は、《魂》と同化した状態で《器》に収まる。逆に言えば、《魂》を持たない《器》は、絶対に《心》を持たない。《魂》を破壊されるということは、精神の憑代を失うことを意味する。つまり、《魂》を破壊されれば、《心》も破壊されるのである。

 例えるなら《器》という鎧から《心》という素肌が傷つけられるのを護るために、《魂》というインナーがあるということである。外装が無ければ、激しい戦場での消耗は著しく、生き残ることは難しいということである。

 器が破壊された場合、魂は器を抜け出すことになる。器から抜け出た魂は、エネルギーを消耗しながらであるが、僅かな時間物質界に留まることが可能である。《魂》に遺されたエネルギーを使い果たすと、魂は完全に消滅する(つまり、《心》も消滅するということである)。消滅した魂を復活させることは、強大な神格ですら困難を要する。

 肉体を離れた《心》の取り得る末路は3つ。ひとつは完全にエネルギーを失って消滅する。ひとつは地獄や天国と呼ばれる異界に移動する。最後はネガティブエナジーを取り込んでアンホーリーに転化することである。

 

〝心〟

 《心(精神)》とは、広く一般的な生命体の本質である。生命体の精神は、通常は魂と同化し意識や自我、感情、記憶などを形成している。地球においては精神は『脳』の産物とされているが、厳密には精神は『脳』から《魂》に転写された存在であり、『脳』はその元になる記憶を貯蔵するためのものである。

 もし人間をコンピュータに例えるなら、『脳』というハードディスクに収まった《心》というデータを、《魂》というメモリに展開していると考えれば良い。《器》は筐体や各種インターフェースの役割を担っている。「忘れる」ということは、《心》からデータを消すことであり、「思い出す」ということは、『脳』からデータをひっぱってくることである。

 

〝器〟

 生命体の肉体は、《魂》の(ひいては《心》の)《器》である。

 『器』とは魂(と精神)にエネルギーを供給するための働きを担っている。魂にとって《器》は何でも良いということではなく、基本的に《魂》にとって、最適な《器》は唯一であり、それ以外の《器》に移ることは何らかのハンデを背負うことになる(逆に言えば、全く同じ構成をした《器》であれば、ほとんどハンデを背負うことなく《魂》を受け入れることができる。例えば双子などがそれにあたる)。

 一部のアンホーリーが行う憑依のように、肉体を操るだけの場合は《器》と《魂》の相性はそれほど問われない。意のままに操り、文字通り自らの手足とするには《器》と《魂》が同化する必要があり、その同化には相性があるということである(それでも、時間をじっくりかければ、ほとんどの場合同化できてしまう)。

 

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