~プレーン~

 

 DOLL世界は、『物質界』『神域』『奈落』『精霊界』の四つの世界(実際には『転移界』という5つめの存在がある)に分けられる。ただし、厳密にはさらに様々な、細かい分類が成される(有名なところでは『物質界』に対する『負の物質界』や、『奈落』を構成する九つの領域など)。

 それぞれの世界にはそれぞれの理があり、その理を別の世界に持ち込むことは“基本的には”出来ないとされている。また、特別な手段を使わない限り、それらの世界を行き来することはできない。

 これらの世界がいつできたのか、それについては定かではない。ただ一つ言えることがあるとするならば、それは、この形態が今後永遠に続く保証は何処にもない、ということである。世界は常にその形を変え、互いにせめぎ合って存在している。このせめぎ合いは非常に微妙なバランスの上に成り立っており、なんらかの作用で驚くほどアッサリとこの均衡が崩れてしまうことも充分に考え得る。

 そうなれば、いずれかの世界が崩壊する可能性もある。無論一方、なんらかの作用により、新たな世界が創造される可能性も秘められている。

 魔術師達の中には、そういった“世界を創造する”術を研究しているものもいる。彼らのうちの非常に高位の幾人かは、実際に(非常に簡略化されたものではあるが)世界を創造することができる。こういった、常命(モータル)のものが作り出す世界のことを、一般には『擬似世界』(デミ・プレーン)と呼ぶ。

 最高位の魔術師ともなれば、己の“魂”をデミ・プレーンに移し、そこから魔術的に肉体を操ることで物質界に影響を及ぼすことができるほどである。

 世界創造は、魔術師の究極の目標のひとつであるといえよう。ひょっとすると、現在知られている世界群は、魔術師がそうやって作りだしたものなのかもしれない。

 

〝物質界(マテリアル・プレーン)〟

 この世界は『物質界』と呼ばれる。

 物質界は血と肉と魂を備えたものが住む世界であり、基本的に厳密な物理法則に支配された世界である。一応、霊体だけ状態で存在できるが、徐々にエネルギーを失って消滅してしまう。『世界』における概念は、基本的には全てこの『物質界』を基準とする。

 実は、物質界ははじめ、時の止まった何も無い世界だった。巨神族ウルガスが物質を要素分けし、違いを生み出す事で時が流れ始めた。アルスター帝国の所属する物質界は、4つ(火、風、水、地)の元素で構成されている(物理法則が4つの系統に要素分けされた、とも言える)。理論上は別の要素(火、水、木、金、土など)で構成された物質界も可能である。ちなみに、どのように分けようと、物質界の法則自体には変化が無い。

 

〝星の源〟

 このプレーン自身が持つアストラルフォースを噴き出す場所。ただし、これを扱えるのはアラ・ユバやティターン、ローカル神達だけであり、(竜は別のプレーンのアストラルフォースを使う)人間やサーペンタイン=サンには使う事ができなかった。ちなみに、影界、エーテル界と共有。

 

〝負物質界(ネガティブ・マテリアル・プレーン)〟

 『負物質界』は『正物質界』の趣味の悪い複製品であり、『物質界』に住む全ての生命在にとって忌むべき場所である。

 『負物質界』はその通称の通り『物理的な』面を持っており、質量保存の法則が適応される『三次元的物質世界』である。ただ、この世界は非常にネガティブな性質を持っており、『物質界』とは全ての面で鏡像のように逆転している。すなわち『負物質界』においては『死』が日常的なものであり、エネルギーの基準となっている。『負物質界』には、生きているものは存在しない。『負物質界』の存在は、全て、死ぬことにより始まる。『負物質界』の干渉力は強く、『物質界』には常に、その力が影を落としている。

 ある時期『死』は『負物質界』の干渉だと言われていたが、現在ではその説は否定されている。しかし、否定されたとはいえ、『負物質界』と『死』のつながりが否定されたわけではない。

 ある種の魔法使い達はこの世界の力を行使することができる。理屈は『精霊界』の魔力を活用するのと同じで、『物質界』と『負物質界』の『皮膜』に『坑』を穿つだけのことなのだが、干渉を嫌う『霊界』の存在と違い『負物質界』の住人達は『物質界』を羨み、生者を憎んでいる。故に、機会を見つけると彼らは『物質界』に殺到し、己の欲望を満たそうとする。そういったエネルギーを利用して魔法使いにより作られるのが『不死怪物(Undead/アンデッドモンスター)』である。

 

〝転移界(トランジティブ・プレーン)〟

 転移界とは他のプレーンからプレーンへと移るために利用される世界。ただし、そのための技術は神話時代に失われている。転移界は他の世界と重なり合っている(空間座標を共有する)。

 

〝次元転移門(トランジティブ・ゲート)〟

 サーペンタイン=サンの力を不動にした技術。簡単に言えば、目的の世界や空間に転移するための、プレーンコントロールの技術を注いで造られた物理的な門である。現在はその作動技術は完全に失われているが、彼らの時代には、「時間をも超えることができた」らしい。

 

〝精気界(イセリアル・プレーン)〟

 半透明の質量(半霊物質)を持ったエーテルに満ちた世界で、物質界と重なり合うように存在している。時間の流れや音、熱などの法則は物質界とあまり変わらない。ただし、重力は存在しない。

 精気界から物質界を知覚することは可能である(実際に視覚や聴覚を利用するわけではないため、盲目の存在も物質界の様子を『見る』ことができる)が、物質界からは知覚することは(通常の手段では)不可能である。精気界から物質界にあるものに触れることも、その逆もまたできないため、物質界におけるあらゆる「物理的な」障害物は精気界では無関係である。

 エーテルは霊体と物体の中間の性質を持っており、魔力や霊体の伝播媒質としても作用している。そのため、物質界で魔法属性の攻撃を使うことで、霊体にダメージを与えることができる。また、物質界にいる精霊は、エーテルを使って肉体を構成し、フェアリーの状態に変化することができる。

 

〝影界(シャドウ・プレーン)〟

 物質界と重なり合うように存在する世界で、影のみが存在する。色彩は白と黒せず、何も無い場所が白、何かがある場所が黒である。この世界は普段よりも音を敏感に感じ取ることができる。

 影界から物質界を知覚することはできない。影界は物質界の写しの世界であり、物質界での影の濃淡が影界での影(存在)の濃淡に影響する。高度な魔術師は一時的に自らを影界に転移し、影から影へ、潜り抜けるように渡り歩くことができる。

 

〝共有意識世界(ライブラリィ・オブ・ザコンシャス)〟

 あらゆる次元界に重なり合い、且つプレーンの隙間に存在する世界。個体の『意識世界』間を繋ぐパイプと呼べる世界。多くの先人の智慧の結集場所であり、ありとあらゆる知識や事象が刻み込まれている。『夢世界』ドリームランド/Dream Landや綺想郷、アカーシャの書などとも呼ばれる。

 

〝精霊界(スピリチュアル・プレーン)〟

 精霊界は、物質の無い世界であり、全ての存在が霊的(アストラル・ビーイング)である。ここの住人は肉体を持たずに独自の『意思』をもって存在している。精霊界は大別すると7つのエリアに分かれる。4つの元素がその物理法則の全てである4つのフォージと正負2つのエネルギー界、そしてそれらを繋ぐ『妖精界』である。

 4つのフォージとエネルギー界はまさにエネルギーの塊であり、とても生物の住める場所ではない。これらの世界では意思そのものが力となる。ただし、その力はプレーンに制約される。つまり、火の元素界で強く念じても、炎しか生み出されない。精霊の側からすると、自分のプレーンの力が増すことになる(ゆえに、精霊は、シャーマンが祭儀を通じて、強い思いを元素界に運ぶことを好む)。

 それに対して、妖精界は祖霊達とフェイの住む世界である。意思が世界に影響を与えるが、他の精霊界ほどではない。そこはあたかも霊体で物質を作ったような世界であり、生物でもそれなりに生活することができる。ただし、長く留まれば身体に変調を来たし、再び物質界に適応するのは困難になるだろう。特に、人間がこの世界の食べ物を食べると、元の世界に二度と戻れなくなるとされる。中には神隠しにあって、妖精界に連れ去られた者もいるようだ。

 

〝神域(アストラル・プレーン)〟

 アストラル・プレーンは、アストラル・フォースに満ちた世界の総称。基本的に、そこの創造主が何らかの目的で作り出した世界であり、それだけで完結している。ゆえに、創造主はその世界において絶対であり、アストラルフォースの使えない者は手も足も出ない。

 広義では我々の世界もアストラル・プレーンの一種であり、隠されたアストラル・フォースの源(星の源)が存在するとされる。

 

〝天国(パラダイス)〟

 聖十字の聖職者によると、聖なる魂が最終的に行くとされる世界。そこは時間を超越しており、至福の喜びが待っているとのこと。『主』はここから神聖魔法のエネルギーを注ぐ。

 

〝地獄(ゲヘナ)〟

 聖十字の聖職者によると、邪悪な魂が最終的に行くとされる世界。そこは時間を超越しており、塗炭の苦しみが待っているとのこと。ここも『主』が創ったらしい。

 

〝浄罪界(パガトリー)〟

 聖北の聖職者によると、天国と地獄の中間にあるとされる世界。徳の足りない者はここで苦しみを受けた後に天国へ行くらしい。聖南、聖東教会はこの存在を信じていない。

 

〝奈落(ジ・アビス)〟

 悪魔や魔王が住む世界。噂では9つの層に分かれており、最下層には奈落の君主が座を占めている。強大な重力が存在しており、一度入ると自力では抜け出せなくなる(偶にできる次元の穴を利用するか、契約魔法で召喚してもらうしかない)。一説によると、ここに閉じ込められた悪魔が、復讐のために持てるアストラルフォースを費やして、このような住み難いプレーンにしたらしい。

 奈落自身は役立つエネルギーを生み出さない。このプレーンに蔓延するエネルギーは、異界から取り込んだ存在を捻じ曲げたものなのである。悪魔は全てのものをこの狭い牢獄に閉じ込めることを望んでいる。

 

〝断片世界(ピース・オブ・プレーン)〟

 不完全プレーンの総称。世界創造魔術の失敗作や終わった世界の残骸などである。概して、サイズは大きくないが、中には内方次元界を包括するものもある。不安定でいつ完全消滅する分からない。

 

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